純ポリウレアと半ポリウレア

定義について、黄微波教授の資料を引用して掲載します。(中国語オリジナル

純ポリウレア‒ 北京‒ 上海高速鉄道防水の成功のカギ

ポリウレア技術ネットワーク 2011‒03‒11

黄微波

1.ポリウレアの定義

2000年アメリカポリウレア開発協会(Polyurea Development Association、通称PDA)が成立し、ポリウレア及び半ポリウレアの定義の曖昧さがエンジニア界や市場に著しい損害を与えていることを鑑み再びスプレーポリウレタン、ポリウレタン(尿素)、ポリウレアに対して厳密な定義を行なった。

スプレーポリウレタン:イソシアネート成分(A成分)と樹脂成分(成分B)の反応によって生成される一種の弾性体物質である。イソシアネートは芳香族でも脂肪族でもよい。A成分は、ヒドロキシル末端基化合物とイソシアネートとを反応させることによって調製される。B成分内には、必ずヒドロキシル末端基樹脂(例えば、グリコール、トリオール、ポリヒドロキシポリマーなど)およびヒドロキシル末端基(芳香族または脂肪族)鎖伸長剤から構成されていなければならない。ヒドロキシル末端基樹脂中には必ず反応性を高めるための触媒を含んでいなければならない。

スプレーポリウレア:国内では純ポリウレアと呼ばれている。イソシアネート成分(以下A成分とする)とアミノ化合物成分(以下B成分とする)の反応によって生成される一種の弾性体物質である。イソシアネートは芳香族でも脂肪族でもよい。A成分は、ヒドロキシル末端基化合物をイソシアネートと反応させることによって調製される。B成分はアミノ末端基樹脂とアミノ末端基鎖伸長剤から構成されなければならない。B成分中には、ヒドロキシル成分および触媒が含まれていてはならないが、顔料の分散を容易にするための助剤を用いることはできる。

しかし中国国内での現行のスプレーポリウレアの定義は、A成分がイソシアネート脂質化合物で、B成分がアミノ化合物であり、スプレー施工によって両者を衝突混合させ反応させる弾性体防水塗料とされている。これは非常に曖昧な定義であり、多くの企業がこの定義に疑問を抱いている。


2.開発の歴史

スプレー弾性体の起源は早くは20世紀、70年代に遡る。初期の品種はスプレーポリウレタン弾性体(略称SPU)であり、施工時に組織が周囲の環境の水分や湿気と反応して二酸化炭素を出すことで泡状の弾性体(外観はヒキガエルの皮のようになる)となり力学的性能を著しく低下させていた。そこで人々はすぐにB成分の中にアミノ化合物を加えること、即ちスプレーポリウレタン(ウレア)弾性体(略称SPU [A])を作り出した。こうすれば、イソシアネートと水分や湿気との反応を効果的に防止し、力学的性能を大幅に改善し、工程における応用効果を著しく向上させられると考えたのである。

しかし、スプレーポリウレタン(ウレア)弾性体はまだ根本的は発泡問題を解決できたわけではなく、施工時にはやはり頻繁に欠陥や問題が出た。特に高温多湿の環境や梅雨時などの環境ではやはり「ヒキガエルの皮現象」が起こり、いくつもの屋外での防護工事の失敗例を生み出していた。

ヨーロッパの(純)ポリウレアの始まりは中国よりおよそ10年間遅く、ドイツは長く半ポリウレアの使用を主張してきたが、後に純ポリウレアの優位性を知り2007年になってやっとポリウレア組織を(すなわちPDA‒Europe)設立させた。中国のポリウレア事業は常に世界最先端であり、今年2月24日に北京で開催された「ポリウレア両会(PDAとPDA-Europe」こそ、その証拠である。


3.純ポリウレア及び半ポリウレアの間の本質的な違い

はじめに、材料の定義およびその組成上での両者の主な違いは、純ポリウレアは等しく末端基アミノ化合物を成分Bとしており、如何なる触媒をも必要としないため室温(ひいては氷点下)でも瞬時にA成分と混合させポリウレアを生成することができる。この点に関する重要な科学的意義は以下のとおりである。

まず、耐老化性を高めることができる。触媒は、結合反応を加速させた後生成されたポリマー材に長期的に残留し日光や酸素、水分等さまざまな腐食性物質に浸食され劣化してゆき、自由基を発生させて材の力学的性能を退化させる、いわゆる材の老化を引き起こすのである。純ポリウレアは触媒を含まないため、その耐老化性は半ポリウレアよりも明らかに良好である。純ポリウレアの寿命は75年以上になると予想されており、これは、他のいかなる合成高分子材料(ポリウレタン、半ポリ尿素を含む)にもない特殊な性質である。

材料生成のプロセスは安定しており、信頼できるものである。ポリウレアは、従来使用されていた防水コイル材などの完成された製品とは異なり、建設現場でのスプレー処理によって完成する半完成品である。したがって、単に実験室での検査合格報告を提出するだけではまったくもって不十分であり、工事現場という条件下でも実験室と同じ性能を発揮できることを保証しなくてはならない。つまり、この材料は屋外(野外も含む)での施工時に周辺の環境温度や湿度がスプレー工程に与える大きな影響に耐えられるような、強い抵抗力を有していなければならない。

性能の優劣については、半ポリウレア材は使用できる原材料が純ポリウレアに比べてはるかに豊富なため実験室(即ち温度や湿度が保証されている場所)でのその強度(特に伸張率)は往々にして純ポリウレアを超える。よって専門家でない人たちは簡単に混乱させられてしまうのである。


4.純ポリウレアと半ポリウレアの識別

純粋ポリウレアと半ポリウレアの化学組成上の差異に基づき、我々は匂いや手触り、ヒドロキシ基の分析、アミノ基の分析、原子吸光分光法、フーリエ変換赤外分法等の様々な分析法を用いて造作も無く分析と識別を行なうことができる。

青島理工大学効能材料研究所は、建設現場で純ポリウレアと半ポリウレアを迅速に識別するための効率的かつ簡単な方法を発明した。現在、調査試験を実施しており、国家発明特許申請中である。(注:このサイトでは誰もがより簡単、迅速かつ確実な方法で本物とポリウレアを識別できるよう、専門家による講義を公開していく予定。)


5.北京‒上海高速鉄道におけるポリウレア防護工程の難度

北京‒上海高速鉄道プロジェクトは黄河と長江という二大水域を越えなければならず、また施工現場は乾燥し寒冷な北部の気候と、多湿で多雨な南方の環境両方に跨っていたため、そこでポリウレアプロジェクトを進めて行くことの複雑さは、実は、京津都市間鉄道のそれをはるかに超えているのである。よって私は、原材料の供給、建設機器の調達、専門スタッフの研修、専門的な監査や検査など様々な方面から見ても、北京‒上海ポリウレアプロジェクトを1ヶ月や2ヶ月で完成させることは不可能だと考えている。

今年2月24日の北京ポリウレアサミットで、アメリカ人は既に北京‒天津鉄道で半ポリウレアを使用したことによる深刻な結果について言及している。もしも北京‒上海線で我々が再び同じ轍を踏むようなことがあれば、国際、国内市場へ与える影響はきわめて大きいだろう。

(著者は青島理工大学効能材料研究所所長である。本稿は掲載にあたって一部内容を変更している)

翻訳:ポリウレアジャパン株式会社

純ポリウレアと半ポリウレア (2)

中国を襲った令和元年台風9号で見る「純ポリウレアと半ポリウレアの性能の相違」
出典:2019-09-09  http://polyurea.cn/News/20192019nian/2019-09-09/396.html

  令和元年台風9号(台風レキマー)→ クリック

台風レキマーと言えば、その破壊力たるや、今なお人々が身震いする程であった。近年青島を通過した台風はいずれも青島理工大学のポリウレア屋外劣化試験場に一定の破壊と損失を与えてきたが、まずは今年の台風レキマーの青島への上陸にあたって黄微波教授がチームを率いて行った緊急対応策及び災害後の復旧作業を見ていこう。

【1】8月10日の夜には台風レキマーは既に青島外海に到達しており、市内の風力は8レベルにまで増加していた。黄教授は研究所の学生達を組織し、全ての屋外劣化試験台を地面に倒し、台風により破壊されることを防止した。また海水試験プール、淡水試験プールについては水位を最低にし、屋外劣化試験場の対外接待業務を全て停止した。

【2】8月11日の午前、黄教授は雨の中、大学屋上の屋外劣化試験場へと急ぎ、馬明亮先生、張鋭博士達と共に、折れたり、曲がってしまった台の数を統計し、台風通過後の損害状況を調べ、後方勤務部署に修理や補強などの指示を出した。

【3】8月12日から16日にかけては風雨が続き、溶接作業をすることは不可能だった。8月17日から20日には天気は快晴に向かったため屋上に溜まった水の排水や、修理や補強作業を展開した。

【4】8月20日には溶接、補強作業が完了し、黄教授は生徒達に指示して全ての試験台を安置し直し、屋外劣化試験場の対外業務を正式に開放した。

【5】8月21日には鉱山での輸送を行う顧客とパイプの防腐を行う顧客とを続けて2組受け入れた。

聞くところによると、青島理工大学の屋外劣化試験場はポリウレアの劣化現象を研究する試験場の中でも世界最大のものであり、黄微波教授はポリウレアの劣化減少研究の第一人者であるという。彼は数十年を一日の如く、ひたすらスプレーポリウレアという領域を懸命に耕し黙々と貢献し、中国のスプレーポリウレア事業に一生をかけ心血を注ぎ、我が国の最先端スプレーポリウレア材料の研究開発に最も基礎的な科学的基盤を提供してきた。その功績はまさに「中国ポリウレアの父」という栄誉に恥じないものである。

また科学研究を展開し、データを蓄積するだけでなく、青島理工大学の屋外劣化試験場はスプレーポリウレアに関する知識を広め純ポリウレアと半ポリウレアを識別する、科学知識普及のための場所にもなっている。上は将軍、下は労働者まで、毎年数百名の国内外からの訪問者を受け入れる、スプレーポリウレアの知識を伝道するための重要な陣地なのである。

長く、純ポリウレアと半ポリウレアを巡る論争は中国スプレーポリウレア界に満ちていた。結合エネルギーや分子構造などの方面からの化学分析も十分純ポリウレアが半ポリウレアより優れているということを証明しているにも関わらず、未だに一部の人間が「純ポリウレアよりも半ポリウレアのほうが中国国内の状況には適している」などのデマを吹聴している。

2009年、某高速鉄道防護プロジェクトにて大量の半ポリウレアが現れてからというもの、黄教授は長期の屋外劣化試験や人工加速劣化試験を行うことで、純ポリウレアと半ポリウレアの劣化規則を明らかにし、純ポリウレアの優位性(純ポリウレアでなければポリウレアに求められる性能を発揮できない)を証明しようと決心した。

青島理工大学の実験棟にはエレベーターが無いため、彼は自ら学生達を率いて1000個にも上るコンクリートブロックを5階の屋上にまで運んだ。その総重量は5000kgを超えていた。またスプレーポリウレア材料を設置するのに適したステンレス製の台を設計、製作し、大量の純ポリウレア、半ポリウレアのサンプルをスプレーした。十年近い観察、テスト、研究、証明の結果、まず純ポリウレアは元データの85%の力学的性能を保持し続けていること、そして半ポリウレアの力学的性能は初めの2、3年しかもたずその後急速に劣化し早々にゴミと化すことが分かった。

特に、今回の台風レキマーのような暴風雨の後では、訪問者は非常に直感的に実情を理解することができる。一つ目は、純ポリウレアが依然として強靭で、力強いことであり、二つ目は半ポリウレアが既に徹底的に破壊されており、ろくな強度を持っていないことである。

先日、青島理工大学の屋外劣化試験場を見学した上海順締新材料有限公司(米国SWD Urethan社の中国合弁会社)董事長の王道前氏は見学後、その感想を語ってくれた。まず一つ目には黄博士の堅忍不抜かつ何事もおろそかにしない厳密な科学研究の精神、そして二つ目には、純ポリウレアと半ポリウレアの耐劣化性能には雲泥の差があるということ。三つ目は黄教授の指導をかたく守り、純ポリウレア材料の応用を全力で広めて行きたいということ、そして最後に、四つ目は、2020年発刊の黄教授による新版「スプレーポリウレア弾性体技術」の出版に期待しているとのことだった。