ポリウレアの定義
2000年アメリカポリウレア開発協会(Polyurea Development Association、通称PDA)が成立し、ポリウレア及び半ポリウレアの定義の曖昧さがエンジニア界や市場に著しい損害を与えていることを鑑み再びスプレーポリウレタン、ポリウレタン(尿素)、ポリウレアに対して厳密な定義を行なった。
スプレーポリウレタン:イソシアネート成分(A成分)と樹脂成分(成分B)の反応によって生成される一種の弾性体物質である。イソシアネートは芳香族でも脂肪族でもよい。A成分は、ヒドロキシル末端基化合物とイソシアネートとを反応させることによって調製される。B成分内には、必ずヒドロキシル末端基樹脂(例えば、グリコール、トリオール、ポリヒドロキシポリマーなど)およびヒドロキシル末端基(芳香族または脂肪族)鎖伸長剤から構成されていなければならない。ヒドロキシル末端基樹脂中には必ず反応性を高めるための触媒を含んでいなければならない。
スプレーポリウレア:国内では純ポリウレアと呼ばれている。イソシアネート成分(以下A成分とする)とアミノ化合物成分(以下B成分とする)の反応によって生成される一種の弾性体物質である。イソシアネートは芳香族でも脂肪族でもよい。A成分は、ヒドロキシル末端基化合物をイソシアネートと反応させることによって調製される。B成分はアミノ末端基樹脂とアミノ末端基鎖伸長剤から構成されなければならない。B成分中には、ヒドロキシル成分および触媒が含まれていてはならないが、顔料の分散を容易にするための助剤を用いることはできる。
しかし現行のスプレーポリウレアの定義は、A成分がイソシアネート脂質化合物で、B成分がアミノ化合物であり、スプレー施工によって両者を衝突混合させ反応させる弾性体防水塗料とされている。これは非常に曖昧な定義であり、多くの企業がこの定義に疑問を抱いている。
開発の歴史
スプレー弾性体の起源は早くは20世紀、70年代に遡る。初期の品種はスプレーポリウレタン弾性体(略称SPU)であり、施工時に組織が周囲の環境の水分や湿気と反応して二酸化炭素を出すことで泡状の弾性体(外観はヒキガエルの皮のようになる)となり力学的性能を著しく低下させていた。そこで人々はすぐにB成分の中にアミノ化合物を加えること、即ちスプレーポリウレタン(ウレア)弾性体(略称SPU [A])を作り出した。こうすれば、イソシアネートと水分や湿気との反応を効果的に防止し、力学的性能を大幅に改善し、工程における応用効果を著しく向上させられると考えたのである。
しかし、スプレーポリウレタン(ウレア)弾性体はまだ根本的は発泡問題を解決できたわけではなく、施工時にはやはり頻繁に欠陥や問題が出た。特に高温多湿の環境や梅雨時などの環境ではやはり「ヒキガエルの皮現象」が起こり、いくつもの屋外での防護工事の失敗例を生み出していた。
純ポリウレア及び半ポリウレアの本質的な違い
はじめに、材料の定義およびその組成上での両者の主な違いは、純ポリウレアは等しく末端基アミノ化合物を成分Bとしており、如何なる触媒をも必要としないため室温(ひいては氷点下)でも瞬時にA成分と混合させポリウレアを生成することができる。この点に関する重要な科学的意義は以下のとおりである。
まず、耐老化性を高めることができる。触媒は、結合反応を加速させた後生成されたポリマー材に長期的に残留し日光や酸素、水分等さまざまな腐食性物質に浸食され劣化してゆき、自由基を発生させて材の力学的性能を退化させる、いわゆる材の老化を引き起こすのである。純ポリウレアは触媒を含まないため、その耐老化性は半ポリウレアよりも明らかに良好である。純ポリウレアの寿命は75年以上になると予想されており、これは、他のいかなる合成高分子材料(ポリウレタン、半ポリ尿素を含む)にもない特殊な性質である。
材料生成のプロセスは安定しており、信頼できるものである。ポリウレアは、従来使用されていた防水コイル材などの完成された製品とは異なり、建設現場でのスプレー処理によって完成する半完成品である。したがって、単に実験室での検査合格報告を提出するだけではまったくもって不十分であり、工事現場という条件下でも実験室と同じ性能を発揮できることを保証しなくてはならない。つまり、この材料は屋外(野外も含む)での施工時に周辺の環境温度や湿度がスプレー工程に与える大きな影響に耐えられるような、強い抵抗力を有していなければならない。
性能の優劣については、半ポリウレア材は使用できる原材料が純ポリウレアに比べてはるかに豊富なため実験室(即ち温度や湿度が保証されている場所)でのその強度(特に伸張率)は往々にして純ポリウレアを超える。よって専門家でない人たちは簡単に混乱させられてしまうのである。
純ポリウレアと半ポリウレアの識別
純粋ポリウレアと半ポリウレアの化学組成上の差異に基づき、我々は匂いや手触り、ヒドロキシ基の分析、アミノ基の分析、原子吸光分光法、フーリエ変換赤外分法等の様々な分析法を用いて造作も無く分析と識別を行なうことができる。